2017年11月20日月曜日

大阪市長の、サンフランシスコ市への姉妹都市解消提起の意味すること

南京市はサンフランシスコ(SF)市が、SF市民たちが制作した日本軍「慰安婦」の少女像を正式に市議会で受け入れることを議決したことに抗議して、大阪の吉村市長がSF市との姉妹関係を年内にも解消するとやっきになっています。

朝日の社説の主張
朝日新聞は読売新聞が「姉妹都市解消はやむを得ない」と社説で主張するのに対して、11月19日の社説で、大阪市の姉妹都市解消の動きを「冷静さを欠いている」と批判的に書いています。「「人と人」の交流との原点に立ち返り、関係を続けていくべき」であり、「外交において歴史認識をことさらに問題視する大阪市の姿勢は、安倍政権と軌を一に」していると捉えています。「韓国・釜山の日本総領事館前に、慰安婦問題を象徴する「少女像」が設置された際、安倍政権は対抗措置として駐韓大使らを一時帰国させた」のですが、「ただ、現実は何の成果も出ないまま、日韓交流の停滞だけが残った。強硬措置がもたらす副作用も肝に銘じておくべきだ。」という結論になっています。

朝日新聞は安倍政権や橋下前大阪市長や現吉村市長の主張の内容に関しては論評せず、「国が違えば人々の考え方は違う。市民同士が息の長い交流を重ねることで、その違いを理解し、乗り越えていこうというのが、姉妹都市の精神のはずだ。」ということで、交流の重要性を説いています。そのとおりでしょう。そして名古屋の河村市長が「戦時中の南京事件はなかった」という発言に南京市は交流停止をしたが、日本側は「問題と切り離して交流を続けるべきだ」と主張してきた」のです。今回大阪市はこれと反対のことを大阪市がやろうとしています。やはり、歴史観が問題になるしかないではないでしょうか。朝日新聞もそこは逃げずにしっかりとして歴史観を明記すべきでした。

しかし日本の政治は大阪、名古屋、東京の首長だけでなく、首相までが世界的には顰蹙を買う歴史認識を欠如させた発言をしているにもかかわらず、日本国民の支持をうけています。実に嘆かわしい。このリベラルであることを標榜する朝日、毎日、赤旗に至るまで、日本のマスコミは、日韓両政府の、「慰安婦」とされる当事者の意向を無視した「合意」の正当性を説き、それに反対する韓国市民や新大統領の動きに対して批判的です。この両国の溝は、日本の植民地支配に対する根本的な認識の違いから来るものと思われるのですがいかがでしょうか。

SFの少女像の碑文内容

「私たちにとってもっとも恐ろしいことは、第二次世界大戦中の私たちの痛ましい歴史が忘れられてしまうことです。」——-元「慰安婦 」

この記念碑は、1931年から1945年まで日本軍によって性奴隷にされ、「慰安婦」と呼ばれたアジア太平洋地域13ヵ国にわたった何十万人の女性と少女の苦しみを表しています。その女性たちの大多数は戦時中囚われの身のまま命を落としました。この暗い歴史は、生存者が勇敢に沈黙を破った1990年代まで、何十年も隠されていました。生存者たちの証言が世界を動かした結果、戦争手段としての性暴力が人道に対する罪であり、加害国の政府が責任を負わなければならないと国際社会が宣言することとなり
ました。

この記念碑は、これらの女性たちの記憶のために捧げられており、世界中での性暴力や性的人身売買を根絶するために建てられたものです。
「慰安婦」正義連盟 寄贈

碑文で問題にされた個所
この碑文の内容に在SF総領事や大阪市知事が歴史の歪曲、嘘があると言い、少女像の撤廃を求めているのですが、一体、この碑文のどこに歴史の歪曲、嘘があるのでしょうか。問題になっているのは、以下の個所です。
1)「日本軍により性奴隷にされ」た「何十万人の女性と少女の苦しみ」
2)「その女性たちの大多数は戦時中囚われの身のまま命を落とし」た
3)「戦争手段としての性暴力」

「性奴隷」という単語に関しては国連で日本政府は抗議したのですが、Sex SlaveでもComfort Womenのどちらでも同じことです。日本軍の海外侵略のために兵士の性のはけ口として女性を引っ張り回して利用する制度を作ったのは日本の軍隊であり、植民地支配下にあっては日本の手先になる朝鮮人もいたでしょう。軍による「強制」はなかったと言うのも、それは秦たち一部の学者の調べた範囲内のことであり、インドネシアやフィリピンなどの実例からして、朝鮮半島で軍の「強制」はなかったと断定できるはずがありません。

そこから慰安婦問題はなかった、彼女たちは売春が認められている時代にあってお金のために売春婦になったに過ぎないなどど言うのは、為にする言い草であり、とんでもない時代錯誤の認識です。それこそ歴史の歪曲であり、日本の過去の富国強兵政策の正当化であり、またしても日本の誤った道を意図的に歩もうとすることでしかないのです。そもそも軍隊がこんな制度を考え出し彼女たちを「戦争手段」として使おうと策略したのでなければ、どうして彼女たちが船や陸路、軍隊について行けたのでしょうか?他国の植民地支配、女性を性の道具として扱うこと自体が世界的に問題になっているのがわからないのでしょうか。

SF市との姉妹都市解消をいくら大阪市が強要し、日本政府が後押ししようともSF市が認めるはずもなく、少女像はますます全世界的に作られていきます。日本の孤立はますます深まり、世界中の笑い者になるだけです。このことがどうしてわからないのか、私たちは選挙権はなくとも日本で生活する、日本社会の構成員である外国籍の住民として、実に、嘆かわしく思っています。






1 件のコメント:

  1. 南京市はサンフランシスコ(SF)市が、SF市民たちが制作した日本軍「慰安婦」の少女像を正式に市議会で受け入れることを議決したことに抗議して、大阪の吉村市長がSF市との姉妹関係を年内にも解消するとやっきになっています。
    とありますが、南京市は  どうしたのでしょうか?

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