2015年8月14日金曜日

東京地裁の「メーカー訴訟」担当書記官との面談

(1)本人訴訟の背景
すでに読者のみなさんはおわかりでしょうが、弁護団から切られ本人訴訟を余儀なくされた二人の原告(私、崔勝久と「日立闘争」の当該として完全勝利した朴鐘碩)はメーカー訴訟を提起し、世界中から4000人の原告を集めるのに中心的な働きをしてきました。そして何よりも、この二人は世界中の原告のほとんどが属する「原発メーカー訴訟の会」の前・現事務局長です。このことが何を意味するのか、まず読者の皆さんに考えていただきたいと思います。
単なる個人的な人間関係による混乱ではありません。冷静に物事の本質を捉えていただきたいと思います。今問われているのは、メーカー訴訟は何のためにはじめたのか、どのような裁判闘争を展開しようとするのかという点です。負けてもよい、玄関払いされても言いたいことだけ言えばそれでいいとは考えません。私たちはパフォーマンスで裁判は勝てるとは考えていないのです。まさに世界中の反核裁判がつきあたっている大きな壁をどう突き崩すのかという点ですべての人の英知を集めなければなりません。

カナダの著名な反核学者のGordon Edwards氏とモントリオールのご自宅でその壁をどう破るのかという話をしました。いずこも「責任集中」の法体系でメーカーの責任を問わないようになっているからです。そこで私の話を聞いた彼はメーセージを送ってくれ、私のその考えに期待を寄せてくれました。しかしそれが東京地裁で通用するのか、多くの人の知恵を集めたいと思います。

拝啓
崔さん、私はあなたが原発メーカー訴訟に対し心に抱いている深い洞察力に強い感銘を受けています。実のところ、これはまさに原発メーカーが最も懸念しているところであり、だからこそ彼らは、責任逃れをするために、原子力損害賠償責任を明記(「原子力賠償責任の法制化」)した法律(翻訳者注:原子力損害賠償法を指すと思われる)を制定するよう主張したのです。ですから、原発メーカーが法律制定化を要求して自分たちを法の網の外に置いたという意味においては、その不正行為および原発体制の根本にある無法状態(無法ぶり)をあぶりだすのは、名案です。
私はこれから、あなたのメッセージを直ちに快く受け入れてくれるような在カナダ団体のリストを作成し、あなたにお送りいたしましょう。
では、ご成功を祈ります。良いご旅行を。そしてお気をつけて。蔦村的子訳
                                     敬具


Che, I am very impressed with the strong vision you have of a lawsuit against the makers of nuclear reactors. In fact this is the very thing they are most worried about and why they insist that the laws be written ("Nuclear Liability" legislation") to protect them from liability. So it is a good idea to highlight the injustice and fundamental lawlessness of the nuclear regime, in the sense that they demand a law that puts them outside of the law.
I will work on a list of organizations in Canada that may be open to your message(s) and send that
 list to you.
Best wishes., and bon voyage, safe travels..

(2)世界の英知を集めた裁判闘争を
「訴訟の会」との対話を拒み、国際連帯を謳い自ら実践しようとして先頭を走り、弁護団の主導に従わない原告は委任契約を切り代理人を辞任すると脅迫されても国際連帯運動の必要性を訴え続けてきた私たちを切る現弁護団は、本当に国際連帯の重要性がわかっているのでしょうか。その展望をもっているのでしょうか。私は残念ながら、彼らにはそのような視点はないと思います。私たちは在日の立場から、原発体制は差別の上で成り立っているということを歴史的、社会的に位置付け、原発体制をなくしていくことは、そのような差別のない社会を作ることでもあると確信をもち行動してきました。
ワシントン広場で考えたフレーズです。
Gyundo is a symbol of peace, without any discrimination, any nuclear weapons and power plants.キュンドは平和のシンボルです。そこではいかなる差別もなく、核兵器も原発もありません(キュンドは先天性障害をもち、韓国の古里原発を両親とともに訴え、世界で初めて甲状腺ガンは原発によるとの判決を勝ち取りました。今回の北米訪問にも同行しました)

3週間のアメリカ訪問を終えてー2015 Pilgrim to North America for Nuclear Free World

http://oklos-che.blogspot.jp/2015/08/2015-pilgrim-to-north-america-for.html


私のこのような考え方と主張は3週間の北米訪問においても、広く支持されました。「トモダチ作戦」で福島沖に停留し被曝したロナルド・レーガン号事件の弁護士に会うので英文資料などでの協力をしてほしいと私は弁護団に依頼したのですが、なんと、「残念ながら、弁護団として、崔さんにご協力することはできません。」という回答がありました。一体、何を考えているのでしょうか。私はCharles Bonner主任弁護士と握手を交わし、今後、お互いに情報提供の面でも全面的に協力をすることを約束しました。彼はアメリカでのメーカー訴訟を勧めてくれました。検討したいと思います。

(3)東京地裁の「メーカー訴訟」担当書記官との面談
本人訴訟当事者として知っておくべきことを確認するために、昨日、メーカー訴訟を担当する東京地裁の書記官と長時間面談しました。弁護団が自分たちの主導に従わないという理由で委任契約を切り代理人を辞任したことで、原告を辞めず、そのまま原告として代理人を立てないで本人訴訟をすることになった、私たち二人にとっては初めてのことなので、まず裁判所の見解を知りたかったのです。
面談の最重要ポイントは、本人訴訟とは何か、弁護士を代理人に立てないで裁判をどのようにやっていけるのかという点に関する裁判所側の見解を知ることでした。「本人訴訟当事者は原告として、原告、被告代理人と同等の立場と理解していいのか」という質問に、その通りだということを確認できました。この確認で言わずもがなですが、初めて代理人を立てず、自分たちの知識、思いのすべてをぶっつけて挑戦することになる本人訴訟の責任の重さとやりがいを実感しました。
当然のことなのですが、私たちはその確認の上で、準備書面を準備して被告代理人の答弁書と、法律論でメーカー責任の内容を問う審理に入れないような訴状の克服をめざします。
裁判の進め方を協議する進行協議にも「傍聴」ではなく、裁判所から呼ばれ原告・被告代理人と一緒になって議論をします。早期打ち切りを提案する被告弁護団にはしっかりと抗弁をします。また、海外からの証人を含めた、私たちの主張する準備書面に沿った証人のリストをできるだけ早期に提案します。
原告側の主張では、法律論で「具体的事実の審理に立ち入るまでもなく、排斥される」(被告日立の答弁書)可能性が高く、証人を呼ぶようなことにはならないでしょう。裁判所の壁は厚いでしょうが、私たちは全力を尽くして、この障壁を突破して、なんとしてもメーカーの責任を具体的に審理の場で明らかにしたいと考えています。そのためには世界中からそのことを証言す専門家を立てたいと考えています。既にカナダの著名な反核学者のGordon Edwardsは、そのような機会があれば是非、証人として協力をしたいと言ってくれました。

まもなく原告の意見を聞くことを拒み弁護団の主導に従わない原告は「切る」と公言する弁護団を懲戒申請し、同時に解任する動きが具体化するでしょう。私たちは一体となって、裁判の場で原告の思いをしっかりと伝えメーカーの責任を追求します。門前払いは真っ平ごめんです。早期結審も望みません。新たな原告の募集も具体的に検討します。日本国内だけでなく、トルコ、アメリカからも原告になりたいという声が届いています。

これまでの「混乱」の中からようやく真実の明かりが見えはじめました。

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