2013年7月18日木曜日

反核(核兵器・原発をなくす)を求める具体的なアクション・プランの提案書の紹介

7月12日に、世界キリスト教協議会(WCC)総会(10月下旬から韓国、釜山にて開催、世界170ヶ国、5000名が参加)で討議される議題について日本側から提案書をだしてほしいという、韓国の「核のない世のためのキリスト者連合」(「核キ連」、ANCN)の要望に応えて以下の提案書が提出されました。執筆者の一人である私は以下の「核からの独立宣言文」を意識しました。

2012年6月12日火曜日
韓国の「核からの独立宣言文」
http://oklos-che.blogspot.jp/2012/06/blog-post_12.html

 "核のない世のための韓国キリスト者連帯"創立宣言文の中で格調高く、「核のない世界は、キリスト者の使命です!」と謳われています。その中で注目すべきなのは、信仰と核は両立しないという、核に対する明確な姿勢とともに、それが韓国の日本からの独立運動をした日を明記しているという点です。「韓国のクリスチャンたちは、2012年の3.1独立記念日を迎え、核からの独立を宣言しました。」

韓国の「核からの独立宣言」は歴史的な独立運動、そして「民衆」の「解放」を求めた民主化闘争の歴史を踏まえ、いくつものグループが共同して作ったものであることがうかがわれます。

それに対して日本のキリスト教世界ではいろんな教団・教派が3・11に対する声明文をだしていますが、彼らがひとつになって宣言文をだしていないこと、また宣言文の内容はいずれも日本の「戦争責任」(第二次世界大戦への協力だけでなく、明治時代の富国強兵の国家政策に寄り添って宣教してきたこと)に触れていません。残念ながら、日本のキリスト教会は戦争責任ということを共通の柱にできないのです。戦争責任を前に出すと分裂するという意味です。

さらにそれら声明文のなかに具体的なアクション・プランが明記されていないという点でも(私が見逃しているかもしれませんが)、各教団の声明文は共通します。それに比べて、「WCC総会で計画されているプロジェクトの内容に関する提案書」はまさに具体的なアクション・プランを提案したものです。神信仰に基づくことばが欠けているという批判もあるでしょう。しかし執筆者の一人として私は、一切、そのようなキリスト教的な表現は避けました。

神の救いはキリスト者だけのものか、教会員だけのものか、むやみに神の名を唱えず、主の導きのなかで十字架で殺されたイエスを仰ぎ見て人としてやるべきことを淡々としていくべきではないかと私は考えました。多くの修正案がだされましたが、提案書の基本的な
スタイルに対する修正案はありませんでした。公にされたものですから、ここにその提案書を公表します。

提案したからには、提案者がその提案をどのように担っていくのかを模索するのは責務です。WCCは7年に一度開催され、次の総会まで今回の釜山総会で議論し決議したことは世界の全てのプロテスタント教会に通知され、その実現に向けた努力が求められます。

今世界的に強盛を誇るのはプロテスタント教会の中でも魂の救いと弟子づくり(宣教)を謳う福音派ですが、彼らもまたWCCに参加している以上、総会で決議した内容を無視せず、自分たちの信仰理解の中でその実現に努めるものと思います。「信仰と核は両立しない」と宣言する今回のWCC総会は歴史に残るものとなるでしょう。反核(核兵器と核発電所をなくす)の立場を支持し、自らそれを担うということを心に銘じます。
                                   崔 勝久

WCC総会で計画されているプロジェクトの内容に関する提案書

先日は韓国を文字通り一周する、「脱核とアジア平和のための韓国原発地域韓日市民ツアー」に日本から20名、アメリカから1名が参加し、大変有意義な時をもつことができました。みなさんのご配慮に心から感謝を申し上げます。闘う現場を持つ住民同士の対話がいかに重要であるかということを改めて学びました。ここからまた地道な実践につながる、新たな動きが始まることを確信いたします。

WCC総会を前にして、日本の様々な原発問題に取り組むキリスト者としてみなさんにWCC総会で討議していただきたい具体案を提示いたします。

1. 私たちはWCC総会の特に核問題に関するプログラムに、運動の当事者として企画・立案の過程に参加する場を設定してくださることを願います。

2.今後世界の原発の半分が建設計画されている東北アジア地域の日本・韓国・台湾が中心となり、非核市民連合を構築し、以下の問題に関するプロジェクトのワークショップ、専門家を交えた市民フォーラムの開催、資料の発行等を行うことを提案します。
①原発の再稼働及び輸出の問題、使用済み核燃料の再処理問題、最終処分問題、ウラン採鉱における環境汚染と人権侵害の問題
②被ばく者への対応問題、原発立地地域住民の安全確保の問題
③核エネルギーの代替案の検討、安全保障問題等

3.日韓台の非核市民連合はアジアにおける原発建設・輸出の問題を真剣に検討するため以下の具体的な行動を提起します。
①日韓台をはじめ、アジアにおける原発建設、再稼働、核燃料再処理・最終処分場建設に反対する諸運動を理解するため、具体的な行動を起こす。特に台湾の第四原発建設反対運動は国民投票を以て決定するという重要な局面に来ており、原発廃炉につながる台湾市民の運動の理解を拡げるため、新聞意見広告や市民・アーティストの交流などを計画する。
②福島第一原発事故を起こした原発メーカーの社会的・道義的責任を問い原発輸出に反対する世界的な世論を喚起するため、NNAAが11月11日に日立・東芝・GEを提訴し全世界から原告を募る裁判を行うが、この運動についての情報を共有し理解を拡げる。
③今後原発建設が予定されているアジア諸国の住民への啓発運動として、地元の運動体と協力し合いながら、福島の状況、各地の原発反対運動の成果、放射能汚染の状況・問題点などを知らせる、映像を中心とした資料を提供するプロジェクトを発足させる。

4.核被害者の実態を世界に広め、被害者救済のための具体的な行動を起こします
①被爆者(韓国、北朝鮮、台湾を含める)の救済と遺伝問題の研究・究明を行う。特に韓国で被爆二世から提起されている被害者特別法の法制化の動きへの理解を拡げ、福島原発事故で被曝したおそれのあるすべての人々,特に子どもの救済に人権の視点からあらゆる手段がとられることを求めるとともに,わたしたち自身の課題としてとりくむ。
②ユーラシア大陸における核発電所・核兵器は全て、「都市部での大規模被曝」という潜在的な危険性と共にある。しかし、この「都市部での大規模被曝」とは何であるかを知る人は、ほとんどいない。そこで、全ての立場の人が「都市部での大規模被曝」を理解するために、現在進行している福島第一原子力発電所事故の現状についての具体的な証言を、WCC本会議内で発表する機会を設ける。

                    2013年7月12日

            東北ヘルプ 事務局長          川上直哉 牧師
            NCC平和・核問題委員会委員長     内藤新吾 牧師
            原発体制を問うキリスト者ネットーワーク
            (CNFE)共同代表             鈴木 怜子
                                内藤新吾
                                崔 勝久           No Nukes Asia Actions-Japan(NNAA-J) 事務局長  崔 勝久

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