2012年5月31日木曜日

放射能汚染の食品・ごみの問題は、地域の住民主権のあり方の問題


放射能汚染の問題が世界中にじわじわと拡がってきているように思います。食品、瓦礫・ゴミにおいて何が問題か、どのように危険なのか、危険でないのか、これが定かではありません。世界中で学者間のコンセンサスがないものですから(学者の価値観、内部被曝と原発体制そのものについて)、為政者はその中で最も「権威ある組織」の見解を根拠にするのですが、それで安全は保障されることにならないというのが現状です。ということは地域で、食品(給食)とかゴミについて住民・行政・議員が有識者を入れてしっかりと話し合うという、まさに住民主権のあり方が問われるということなります。

以下、質問:安全な学校給食の基準とは何ですか?に対するみっつの意見に対して質問者からの返事がありました。

アドバイスありがとうございます。
みなさんのお便りを参考にもう一度地元のみなさんと今後の対処について考えてみます。放射能汚染は五感で捉えることができず、健康への影響も確率的にしか言えない、したがって責任を問うことも困難になり、やがて泣き寝入りになる……なんてことは決して許されない事です。原発を止めることに全力を尽くすとと共に起きてしまった汚染とも真剣に向き合わなくてはなりません。ともに力を合わせて参りましょう。



今朝のニュースで野田首相が(予定通り)大飯原発の再稼働を決意したと報道されました。大飯原発再稼働に厳しい反対をしていた滋賀県知事や橋本大阪市長たちも「妥協して」、関西広域連合の首長たちは、今回の再稼働は「暫定的な判断を前提に限定的なものとして適切な判断をするよう強く求める」という声明文をだし、実質的に政府の再稼働政策に合意したことになります。福島事故の原因が解明されず、地震の影響、様々な技術的な問題点など、再稼働は少なくともそれらの問題点をはっきりとさせたうえでしかなされてはいけないものを、住民の事故の場合の安全対策も不十分なまま、見切り発車されたわけです。悔しいですね。

安全基準、住民の避難対策など全く不十分であるのに再稼働するのにその責任は4人の大臣、最終的には総理大臣がとると見栄をはっていますが、そんかことはできもしないのに、責任の取りようがそもそもないのに、夏の電気の不足を理由に強行突破することを宣言したことになります。権力とはいかに民意を聴かず(聴くふりは多少しながら)、やりたいことをやるのだなということがよくわかりました。

福島事故による放射能の影響はじわじわと日本国内、そして世界中に拡がるでしょう。「原発体制を問うキリスト者ネットワーク」CNFE)のアメリカ在住のメンバーである、荻谷海さんのFBでの記事で、アメリカのマグロに放射能が見つかったとありました。安全な「数値」ではあるとのことですが、それでも現地では福島事故による放射能が太平洋を渡りアメリカにまで来たこと驚いているようです。これでアメリのツナの缶詰の売り上げは下がるでしょうね。

CNFEのMLで食品の放射能の安全値とは何かという問いかけがなされ、いくつかの意見が出されており、私も投稿しましたので、みなさんに紹介させていただいます。政府が世界の(原発体制を擁護する学者たちによる)基準を根拠にして、食品や瓦礫の汚染の定義を出してくることに、そしてそれが当たり前のようにして宣伝され、承認されてきている現実を恐ろしいなと思います。

1 質問:安全な学校給食の基準とは何ですか?
本日は皆さまにアドバイスをいただきたくメールします。
政府は食品に含まれるの放射能の限界を100㏃/㎏以下として安全・安心をより高めたとしています。ところで隣町の埼玉県東松山市では独自に学校給食を計測し20㏃/㎏を越えるものは出さないとしています。

お尋ねしたいのは、一般食品100㏃という基準が本当に安全なのか、そして学校給食のような子どもたちの食事がその5分の1の20㏃で安心・安全なのかということです。当方、放射能に関する一応の知識は持ち合わせていますが、どうも腑に落ちないのです。実は、私の住む滑川町はその東松山市に検査を依存しているので、そちらの検査体制に従うほかないのですが、町の小さいお子さんを抱えたお母さんたちが、この検査体制や数値に強い疑いを持っており、20㏃限界なんて信じられないとして、もっとしっかりした検査と情報公開を求めています。そしてこの間、町その他にいろいろ訴えているのですが、町は20㏃は一般食品よりかなり厳しいので問題ないという姿勢です。

そもそも政府の示す値の信頼性はどうなのか、また各自治体および小売業界などで行われる独自の検査体制とその基準の数値の持つ意味はどうなのか、またこうした住民の不安を皆さまのお住まいの地域ではどんなふうに解決しているのか、このあたりをぜひお伺いできればと思う次第です。よろしくお願いいたします。

2 意見(1):福島で私の経験している実際の例
私は専門外ですので、科学的な根拠については本で読む程度のことしか分かりませんが、日本の生協では政府基準を用いるところもありますが、独自に決めている所では、15Bqが厳しい基準の一例です。
私が責任の一旦を担っているNPOでは、現在福島中通りの農民達との連帯を進めていますが、その中で彼らが加工している人参ジュースの販売支援をしています。そして、彼らと話し合ってドイツが子どもを対象とした基準値(世界的にも最も厳しいといわれています)4Bg/kg以下のものだけを扱うことにしています。
今のところ、0か1しか出ていませんが、それでも扱うことに危惧を持つ会員もいます。できれば0が良いに決まっています。しかし、0であっても測定誤差や測定限界、どのていどの精密な測定器なのかなど、他にも様ざまな問題があるようなのでひとつの参考としてください。

なお少し別の話になりますが、福島浜通りの方々に直接聞いたことですが、最近は病院に累積放射線量を測る高額な機器が次々行政によって設置されてきており、また食品の放射線量を測る機器が幼児施設に設置されてきているが、現場では機器がようやく手に入り始めたことを歓迎すると同時に、1年余りたったので、もうあまり数値が出ないことになってきたので導入を積極的にし始めたのではないか、という不信感も併せ持っています。

3 意見(2):ドイツと比較して
日本のセシウムの基準値、100Bq/kg、私は高いと思っています。ドイツのセシウム基準値は大人が8Bq/kg,  子どもは4Bq/kgですし。たとえ学校給食で20Bq/kgに抑えたとしても、決して「安心」とはいえないと思います。内部被ばくにしきい値はありませんから、被ばくで「安心」といえるのはゼロのときだけだと思っています。
基準値も問題ですが、そもそも食品に含まれる放射性物質をいちいち測定しているのかどうかが問題かもしれませんね。

4 意見(3):そもそも安全基準などないのです(崔)
既に二通の意見が出されていますが、実は、何が「回答」なのかというのはない,と言うのが正直なところです。以下のブログは読んでいただけましたでしょうか。

内部被曝についてー戦後世界を根底から問い直す視角になるのか?
http://www.oklos-che.com/2012/05/blog-post_11.html

根本的には、世界で放射能の影響に関する研究者間でのコンセンサスはありません。むしろ内部被曝を強調する研究者は少数派です。これまで放射能の影響は、広島・長崎からはじまり、チェルノブイリによる原発事故、イランなどでの劣化ウラン兵器を含め、実際の癌の高い発生率や奇形児の誕生があっても、その原因が原爆実験や原発事故と関係されたり、「証明」されたり、断定されてはいないのです。

日本は世界の既存の原発を支える団体が出す基準に依拠して一定の数字をだしているのですが、その根拠を巡っては何が「正解」とは言えません。しかし水俣病をはじめ、病院の原因認定はいつも多くの患者の苦しみが先行し、学問は後から「承諾」し保証する(それも不十分に)という形になってきました。

川崎においても、瓦礫の放射能の水準はどのように、誰が、何を根拠に決定するのか、はっきりしません。川崎は陸前高田より福島から近い距離にあり、放射能に汚染されたがれきが問題になるのであれば、被災地の瓦礫の焼却処理の問題、川崎の一般ごみの問題は無視してはいけないはずです。

ですから意見(1)のように、自分たちで一定の基準を設定するしかないというのが実態です。例えば横浜市では、学校給食でだされた牛肉とミカンの缶詰が問題になり主婦たちの抗議によって使われなくなったのですが、川崎では問題がないという見解です。文句が多いからやめるというのでなく、明確な基準値が問題にされるべきですが、それにも世界的にばらつきがあるのであれば、問題点が何かについて、有識者を交えて父母との話し合いが持たれる必要があると思います。


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